tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

株式投資が格差社会化を齎さないための税制

2021年04月02日 15時29分51秒 | 経済
株式投資が格差社会化を齎さないための税制
 今回は前々回の続きで、ピケティの指摘のように、資本主義社会は経験的に、資本収益率 (R)が、経済性勝率(G) より高い(R>G)のだから、格差社会化は必然的に進展するということのようです。

 とくに最近のように、この傾向に拍車をかけているのがマネー資本主義でしょう。巨大な投資銀行から、多くのファンド、そして個人投資家まで、低迷する経済成長、伸び悩む収益、上がらない賃金という状況の中で、何とか書と・資産を増やそうと株式投資などで「キャピタルゲイン」をあてにするこの頃です。

 しかもリーマンショックやコロナ対策で、政府や中央銀行は、何処の国でも財政赤字や異常な金融緩和といった政策を取ということになりますと、典型的にアメリカの例に見ますように、格差社会化は一層進むことになるのでしょう。

 1990年代からすでに、レバレッジをきかせたマネーゲームが格差社会化を促進する危険性に気づき、投機的な金融取引に税金をかけて格差社会化を防ごうと考えたのが有名なトービンのトービン税でしょう。  
 これはまさに名案で、レバレッジを利かせた巨大な金融取引に極く低率な取引性をかけることで、巨大な税収を得、格差是正のための所得再分配の財源にしようというものです。 
 
 世界中一緒にやらないと資本逃避が起きるといった議論や、後進国援助に使うべきとかいろいろが議論があって、実現はして居ませんが、ますます必要になりそうな着想です。

 ところで、株式投資は、本来は企業の成長を支援するものですが、最近は、多くがマネーゲームで「キャピタルゲイン」を狙うものになっています。政府の年金基金を増やそうとするGPIFなどもそうでしょう。

 この株式投資の現状を、本来の、企業の成長を支援し、結果的にGDPの拡大、経済成長を促進し、その成果の中からリターンを得るというような株式投資に誘導する税制も考えなければならないのではないでしょう。

 そんな発想で考えますと、こんなことも考えられるのではないでしょうか。
 株式を売買する場合、買ってから売るまでの期間によって、利益が出た場合の税率を変えるという発想です。

 持っている期間が長いほど税率は低くなるという方式です。
 たとえば、コンピュータを使った瞬間的な取引の場合には利益に対する税率は99%でもいいでしょう。1か月以内なら90%、1年なら50%、3年なら20%(現在の税率)5年以上持っていれば、もっと低くしても良いかもしれません。

 こうすれば、株を持つときはみんな長期指向で考えなくてはならなくなって、応援し甲斐のある会社を選ぶことになるでしょう。株式投資の本来の姿勢です。

 渋沢栄一ではありませんが、これが本来の実業を中心にした資本主義の在りからでしょう。「論語と算盤」の両立です。

 ま、理屈はそうですが、今の世の中でこんな事をやったら、世界中の金融システムは、たちどころに崩壊でしょう。現実にはとてもできるものではないと私自身も思っています。(出来たら世の中良くなるだろうと思いながら・・・)

 ということは、今の株式市場は、いかに資本主義の本来の姿から逸脱しているかという事の証拠だと言えるのかもしれません。
 


 

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